「童仙房」という地名を初めて耳にしたのは二年前の秋のこと。関西の軽井沢≠ネんてお洒落なキャッチフレーズがあることはもちろんのこと、奈良からほど近い南山城村に、そんな素敵な所が存在するとは長い間知らなかった。本紙「クオ倶楽部」のイベントでも紹介されたが、8月にはブルーベリー狩りも楽しめる。
163号線を笠置方面へ走り、童仙房への道標を頼りにくねくねした山道を登って行く。標高500m程の所に広がる童仙房高原は、明治維新の後、刀を捨てた武士たちが開拓したとされる地で、夏でも涼しい。コンビニの一軒もなく、豆腐一丁買うにも山道を下らなければならない不便極まりない所だが、そのなんにもないところが童仙房の魅力なのかも知れない。
お昼を回った頃、目的の童仙房山荘に到着。予約していた取れたて野菜と新鮮な地鶏のすき焼き≠ノ舌鼓を打つ。おまけにこの日は評判の高い童仙房米の新米が味わえたのでとてもラッキーだった。
調子に乗って食べ過ぎてしまい、満腹のお腹を抱えたまま山荘から少し車で走った所にある高麗寺へ向かう。同寺は日本にある韓国の曹渓宗という宗派の総本山で、日本において宗教法人格を取得している。広い境内には、本堂の他に山神閣や竜王堂、戦没者慰霊塔などがあり、広大な墓地にはハングルが刻まれた墓石が並ぶ。外観からしても韓国らしい色彩だが、本堂の中に入るとさらに強烈で、目映いばかりである。
「日本昔話」に出てくるような山里で異文化に出会えるとは。何となく得した気分で再び車に乗り込んだ。